レポート

9/19 Conference 2nd Day (2)

2日目午後はSESSION7と8。

  • SESSION 7: WHAT NEW SCIENCE WILL WE SEE AT THE THIRD BARCODE CONFERENCE?
  • SESSION 8: CASE STUDIES II. DNA BARCODING IN DEVELOPING COUNTRIES.

SESSION 7: WHAT NEW SCIENCE WILL WE SEE AT THE THIRD BARCODE CONFERENCE?

2009年に開催予定の3rd Barcode Conferenceまでの近未来像として、すでにバーコード情報のさらなる蓄積と技術革新が示されている。このセッションでは、蓄積された膨大なバーコード情報をいかに活用するかを考える講演が行われた。

Les Christidis (Australian Museum) Barcoding and biodiversity research:DNAバーコーディングと分類学など生物多様性研究との関係のあり方についての議論。DNAバーコードは「種の識別子(Identifier)」であるが、記載された種」を完璧に同定できるわけではなく、これまでの分類学的研究の重要性は変わらないと主張する一方、分類学の衰亡の危機を危惧し、今後分類学を重視しなければならないとした。とはいえ、現在の、バーコードプロジェクトが各研究者が決定したバーコード配列の情報を提供してもらうだけでなく、give and takeによって両者が共存共栄していく方法を考えないと建設的ではないと思う。

Dan Janzen (University of Pennsylvania) Ecological inventory with a barcorder, the ecological taxascope: who eats what in a complex tropical forest?:鱗翅類の重点プロジェクト地点であるコスタリカの自然保護区Area de Conservacion Guanacaste(ACG)での活動の概要。多くの研究者およびヘルパによって保護区から幼虫を飼育羽化させ、データベース化・標本作製した後、カナダに送りバーコード配列が決定されている。その結果、蝶類でもいくつもの隠蔽種が発見されたという。

このあと、パネルディスカッションとして4名の研究者がそれぞれの立場からバーコードの今後の展望についてコメントし、議論が行われたが、正直そこまで追い切れなかった。

SESSION 8: CASE STUDIES II. DNA BARCODING IN DEVELOPING COUNTRIES

Daniel Masiga (ICIPE, Nairobi, Kenya) DNA Barcoding: considerations for vectors of neglected diseases:DNAバーコーディングに期待される成果の一つとして、伝染病の媒介者の同定法の確立があげられる。その一例として、アフリカにおけるツェツェバエのうち、眠り病(アフリカトリパノソーマ症)や家畜のナガナ病を媒介するGlossina属を同定するためのバーコーディングの取り組みが紹介された。これまでにケニア産の8種・亜種がバーコード化され、すべてバーコード塩基配列で区別可能であった。今後、発生予測等に有効活用できるであろう。

Pablo Tubaro (National Museum of Natural History, Argentina) All Birds Barcoding Initiative in the Neotropics: Identifying and discovering bird species in the riches avifauna of the World:鳥類をバーコード化するABBIプロジェクトの中南米における進行状況の紹介。前の発表にもあったが、これまでにカリブ諸島やパナマで網羅的に行われてきたほか、アルゼンチンでも半数の種でバーコードが決定された。そのうち3%には、塩基配列に種内の地理的変異としては大きな差がみられ別種の可能性があるという。

Wazir Lakra (National Bureau of Fish Genetic Resources, India) FISH-BOL and Barcoding in India:インドにおける魚類をはじめとしたバーコーディングプロジェクトの概要について。魚類を中心として2005年からプロジェクトが始まっている。

Brian Fisher (California Academy of Sciences) Transforming taxonomy for effective biodiversity assessment of arthropods in Madagascar:マダガスカルにおけるバーコード情報の活用の試み。マダガスカルは多くの調査が行われ、膨大な標本が収集されているが、昆虫に限ると分類学者不足などのために記載された種数は収集されたそれより遙かに少ないのが現状である。一方で、マダガスカルは環境破壊が進んでおり、保護区は設定されているものの昆虫類の調査モニタリングは不可能なのが現状である。そのため、発表者らはDNAバーコーディングに種の分割と同定の促進を期待している。熱帯雨林ではどこでも大規模な環境破壊が進んでおり、記載するスピードよりも絶滅のスピードが上回っている。分類学者が十分な数存在し続ければ、記載の効率化にDNAバーコーディングが果たせる役割は消して小さくないと思う。

Si-Min Lin (Chinese Culture University, Taiwan) Construction of A DNA Barcode System for Amphibians and Reptiles in Taiwan:台湾における両生・爬虫類のバーコーディングプロジェクト。これまでに85%のnative speciesがバーコーディングされている。多くの場合、標準的なバーコード領域で種まで同定できるが、爬虫類ではCOIの変異が大きく、標準的なプライマーセット(universal primer)では増幅できない種が多いという。

この夜はShen-Horn Yenさんが主催した昆虫関係の参加者による食事会に参加。20名以上が集まった盛会だった。