レポート

9/20 Conference 3rd Day (2)

午後には最後の2つのセクションが行われた。

  • SESSION 11: STATE-OF-THE-ART PRACTICES: HOW DO THE BEST BARCODE LABS DO THEIR WORK?
  • SESSION 12: BARCODING WITH NON-COI GENE REGIONS.

SESSION 11: STATE-OF-THE-ART PRACTICES: HOW DO THE BEST BARCODE LABS DO THEIR WORK?

Lee Weigt (L.A.B., Smithsonian Institution) Technology Transfer, an efficient DNA barcoding workflow: how we do it and more importantly to you, how we can help you do it:CBOLの下でGuelph大学やスミソニアンで行われているバーコーディング手法の開発・改善の概要と、それをどのように生物多様性の高い他の地域での解析に生かす方法についてのコメント。講演者らは、目標として、バーコード情報を利用可能にするため、リソースや情報の共有化、バイオテクノロジーの生物多様性研究への適用と両者の間のギャップを埋めることをあげた。その解決策として、組織標本やDNA抽出物を解析できるコアの研究室が借用して解析する方法をあげた。

Paul Bartels (Wildlife Biological Research Centre, South Africa) Sampling wildlife in Africa:うわ、何も覚えていない。

David Lambert (Allan Wilson Centre, New Zealand) Recovering historic DNA (HDNA) and ancient DNA (ADNA): Implications for DNA barcoding:ニュージーランドの鳥類では、現生種だけでなく、絶滅種の標本のバーコーディングも試みている。古い標本のDNA(ancient DNA)はすでに壊れており、量も少ないため解析は困難である。しかし、preCRなどの修復技術と、internel primerを含む鳥類のuniversal primerを使い、バーコード領域を5つに分割して配列決定することで比較的良好な結果が得られたという。この結果、配列を決定できた骨格標本の3割以上の誤同定が判明した。また、この結果を基にキーウィの現在と以前の分布域を比較した。

Mehrdad Hajibabaei (University of Guelph) Exploring archival and environmental samples through minimalist barcodes:古い所蔵標本や環境DNAなど、バーコード全体の塩基配列決定が材料の問題あるいは技術的に難しい場合、バーコードの一部の領域がどの程度同定に役立つことを示した。各種に固有の塩基の変異をもつ確率は50bpでは80%、200bpでは95%であり、100bp程度の長さの”minimalist barcode”でも650bpの全長に近い解像度で同定できるという。そこで、COIの5′端139bpを片側だけを塩基配列決定するプライマーを設計し、これを”mini barcode”として同定に用いることを提唱した。

SESSION 12: BARCODING WITH NON-COI GENE REGIONS

DNAバーコーディングの標準的なバーコード領域としてCOIが選択された理由として、動物界の大部分の分類群で利用できるuniversal primerがあること、種レベルの変異を多く含むことがあげられる。しかし、全ての生物で利用できるわけではない;一部の動物ではuniversal primerが利用できないし、菌類や植物ではそれぞれ固有の問題がある。従って、分類群に応じてCOI以外の「バーコード」を設定する必要がある。

Freek Bakker (University of Wageningen, Netherlands Herbarium) Optimising selection of DNA barcode regions and CBOL’s guidelines for non-CO1 selection:新しいバーコード領域を決定する際のCBOLの方針として、汎用性・技術的に簡便・古い標本からの決定が容易・アラインメント不要などの点をあげた。COI以外の領域による”barcoding”は、生物学的な要求、各分類群に固有の問題の解決などに必要であるが、その一方でプロトコルの煩雑化や、各分類群でしか使えないデータライブラリの乱立などを招くことにもなる。

Robyn Cowan (Royal Botanic Gardens Kew) Standardized land plant barcoding requires a multi-loci approach:
John Kress (Smithsonian Institution) Using DNA barcodes to test the identity and purity of plant-based medicines and herbals:植物はミトコンドリアの種間変異が少なくCOIを種レベルの同定に利用できないため、葉緑体ゲノムからバーコード領域の決定を試みた。Cowanらは種レベルの変異があり、適当な長さの断片を増幅できるuniversal primerがある領域として7つの領域を選択し、そのうちrpiC1, accD, ndhJ, rpoB, matKの5つの領域の組み合わせを提唱した。一方、KressらはrbcLで粗くグループを決定した後、trnH-psbAで種レベルの同定を試みる方法を示した。植物のバーコード領域については、この翌日のワークショップで議論されているはずだが、私はその結果をまだ知らない。

Lynn Cook (University of Queensland) DNA-barcoding on a different scale: Challenges within Coccoidea:カイガラムシのバーコーディングの現状。現在Scale Insect Barcode Initiative (SIBI)の立ち上げが、ScaleNETとの連携して予定されているという。カイガラムシではこれまで18S rDNAのライブラリ化を進めていた。しかし、COIの標準バーコード領域の利用を検討したところ、カイガラムシではA-T rich(全体で69~85%, 3rd codonは97.5%以上)でPCRはほとんど成功しなかったとため現在は28S rRNAのD2 expansionをターゲットとしてバーコード化が進められている。

Sean Graham (University of British Columbia) Canadian plant barcoding results with some global implications:Canadian Plant Barcoding Working Groupは、カナダ産の植物を材料としてバーコード候補領域の比較を行っている。CowanらとKressらが提唱した領域を複数利用したセットで比較したが、ある地域の種の同定は50~60%しか成功しなかった。この理由として、種の境界が曖昧だったり、互いに単系統(reciprocal monophyly)でないことが多いことがあげられている。植物では雑種も多いため、バーコード領域が何とか定まったとしても、分子マーカーによる種レベルの同定するのは困難が多いと感じた。

Amy Rossman (USDA Beltsville) Progress toward DNA barcoding the vast diversity of fungi:菌類のバーコーディングについてはFungal Barcode Initiative(FBI!)が立ち上げられ、2007年5月に第1回All Fungi DNA Barcoding Workshopが、このconferenceの前日に第2回workshopが開催され、方針や方法に関する検討が進められている。ターゲット領域としては、COIやITSが候補となっているが、動物と違いCOI領域に様々な長さのイントロンが挿入されるため利用することは難しく、代わりにITS1-5.8S-ITS2の525-720bpをターゲットとする。この領域は適当な長さで変異を多く含むが、系統学的研究には不適当だという。ITSについてはすでにEctomycorrhizal Fungi(外生菌根菌)の塩基配列ライブラリと同定支援システムUNITEがある。

この日の夜はTaipei 101のすぐそばのTaipei World Trade Center内でClosing Banquetが開催された。良い感じで酔っぱらってみたり、台湾舞踊を楽しんだり、Hebert博士に宿題をもらったり。